北東インドのシッキム州にある、夫の実家での田舎暮らしを1ページにまとめました。
家の前のヒマラヤの風景です。朝、ときどき散歩にでかけます。その時に撮った写真。
インドの村の生活で驚いたハプニング
年末、年始をシッキム州で過ごしています。 シッキムの人は仏教徒が多く、私の滞在しているところも仏教徒の地域です。 インドでは、仏教徒は、今年のカレンダーでは、1月2日の今日が新年だそうです。 (毎年のカレンダーによって、日が変わるそう) 1月1日に、みんな新年おめでとう!と言っていましたが、本当のお祝いは今日らしいです。
今日は、インドの村の生活で驚いたハプニングを書きます。
1.村で牛を見ていたら、牛の糞尿タンクに落ちてしまった
友人が、オレンジの畑を見せてくれるというので歩いていた時、途中で牛に見とれていたら、気づかずに、糞尿タンクに落ちてしまいました! あわてて友人が、大笑いしながら、引っ張りあげてくれましたが、私も、笑いが止まらず・・・ 体の半分近くが、牛の糞尿にまみれてしまい、すぐにシャワーを浴び、服を洗いましたが、なかなか匂いは落ちず・・・
この日は、ディワリというお祝いの日でした。ランプに明かりを灯すお祝いの日。 こんな祝日に、糞尿タンクに落ちるというのは、「ウンがいい」ということで、みんなで大笑いしました。 日本にある「ウンがいい」という表現は、インドにもあるそうです。
また、「ラクシュミ(豊かさの女神)に祝福されてるね」とみんなに言われました。 それは、ラクシュミ=牛 とみなされているからだそうです。 インドでは、牛は神様として崇められていることは皆さんご存じでしょう。 牛は、草を食べるだけで、人間に、見返りも期待せず、多くの豊かさをもたらしてくれます。 それが、人々に惜しみなく豊かさを与えるラクシュミの性質をあらわしているからだそうです。
私も、こんな目にあっても、不思議と楽しい気持ちにしかなりませんでした。 小さい頃、母が、田舎の話をしていて、「糞尿が溜めてある池に、誰かが落ちて・・・」という話をしていたのを「ふ~ん、そんなこともあるのか」と人ごとのように聞いていたのを思い出しました。 まさか、それが大人になって、本当に自分が体験することになるとは・・・
母に電話して、大笑いしながら伝えると、 「人間の糞尿じゃなくて、よかったたいね(九州弁)」と言っていました。ポジティブな母です(笑)
インドの自給自足生活で驚いたこと・・・近所の人との距離感
インドの村の生活で驚いたことは、
近所の人が、好きな時に家に来て、好きなようにご飯をつくって、食べて、寝て、帰っていくこと!
TVを見ながら、つい寝てしまったという流れで、夫婦の部屋に、近所の人が普通に朝まで寝て帰る、という・・・
最初は、「お手伝いさんを雇っているのかな?いつも、家の人よりも働いてるし」と思っていたら、「近所の友達」という話が、不思議でなりませんでした。
まるで、お給料をもらっているかのような仕事っぷりで、「近所の人がちょっとお手伝いしている」という感じではなかったんですもの・・・
「同じように、近所の人が助けを必要としていたら、こちらも手を貸しに行くんだよ」という話。
村の人全体が、一つの大きな家族みたいな感じです。
日本は、一人一人の個人や、家族単位で頑張って生きていかなければ、誰も本当には助けてくれないというような感じがしますが、
ここでは、村全体が、ゆるやかなネットワークでつながっていて、支えあっている安心感があるなあ、と感じました。
びっくりしたこと ー 村で病気になったらまず相談するのは医者ではなく、可愛すぎるネパール祈祷師のおじいちゃんだということ
シッキムに住むネパール人のおじいちゃん。おじいちゃんは、主人の家のご近所さん。 職業は、プジャリ(プージャをする人=祈祷師)。
私の足元から首のあたりまで、1ヶ月ほど発疹ができてしまったのですが、おじいさんが、村の伝統的な方法として、体の異常に対する祈祷を行ってくれました。
発疹は治らなかったけど、感謝(^^) (その後、寄生虫と診断され、薬を飲んで完治)
なんでも、村では、病気になったら、最初に相談するのは医者ではなく、祈祷師なのだそうです!!
私が覚えたての拙いネパールを、間違えながら話すと、いつもゲラゲラ笑っています。私は、笑い上戸の、このおじいちゃんの大ファンになってしまいました。
少しだけ覚えたネパール語を駆使して、おじいちゃんと意思疎通を図ろうと挑戦。でも、私の本当の意図は、おじいちゃんを笑わせることでした(笑)
私が日本に帰国する前日、挨拶に行ったら、
「あなたが帰ってしまったら、私は誰と一緒に笑ったらいいの?」 なんて、可愛らしいことを(^^)
間に英語の通訳を交えて、おじいちゃんと、大いに笑った日々でした。おじいちゃん、また会えるのを楽しみにしています。
その後、再会できたネパール人のおじいちゃん
シッキムの人たちは、基本的にネパール語が公用語で、またそれぞれの部族の言語で、同じ部族同士は話しています。
前回、シッキムに来た時は、一言もネパール語が話せなかったのですが、今回は日本から「旅の指差し会話帳 ネパール語」を持ってきました。
「これ好きですか」とか「ほしいです」とか基本的なことがちょっと話せるようになっただけでも、家族や近所の人たちと、だいぶコミュニケーションが取れるようになり、嬉しいです。みんなも、私が一言ネパール語を言うだけでも、喜んでくれます。
前回、仲良しになったネパール族のおじいさん、アディカーリ(お名前)さんにそっくりな絵をこの「旅の指差し会話帳 ネパール語」の中に発見し、みんなで見ては大笑い。ご本人も大爆笑でした。
ヒマラヤの恐ろしい生き物といえば・・・
デリーの48度がウソだったかのように、こちらではフリースを着て、毛布を着こんで寝ています。
雨が降り続けない限りは、避暑地として、快適なシッキムです。
ところで、私は、ゴキブリが大の苦手なのですが、ゴキブリよりも強敵な生き物に、ここで出会いました。それは、ヒル!!
(下の写真の赤い奴がヒルです。切っても切っても、まだ動き続けるのでデモンと呼ばれています。塩や灰をかけるといいそう)
去年は冬だったので、たまにしか吸いつかれなかったのですが、今回は、茂みを歩くだけで何匹も、足に食いついてきます。気が付いたら、血がダラダラ・・・
取り除くのも怖くて、現地の人に足を差し出し、「取って~!」とギャーギャー言っていると、周囲の人たちはそんな私を見て笑っています・・・(^^;)
現地の人は、いくら自分の足から血が流れていても、大して気にしていなさそうです(^^)ゴキブリは気持ち悪いけど、何もしないだけマシで、なんでもないように思えてきました。
でも、シッキムのゴキブリは、日本や他の暑い地域のインドで見るものとは違って、小ぶりのコオロギみたいなので、身の毛もよだつほどではありません。。。
ヒル対策をどうしようか調べてみたら、塩を靴下にふっておくとか、虫よけスプレーを足にふっておくとかありました。今度出かける時、試してみようと思います。
村の家は、動物が家の中を歩き回る
森の中なので、たくさんの生き物との共同生活です(^^)
牛、ニワトリ、犬、猫は家をウロチョロ。
自由に放し飼いされています。
(下の猫は、カマドの横で暖をとっています)
シッキムに来て早々、足や腰に発疹がたくさんでき、昨日、町のお医者さんに診てもらうと、虫さされ + 動物、ホコリ、カビのアレルギーだということ。
薬を飲み始めたら、かゆみはだいぶ治まりました。
前回も発疹ができたのですが、その時はおなかに寄生虫がいるということで1か月ほど痒かったです。
インドの森の生活では、日本では体験できないことをしています。
シッキムの民族衣装で写真撮影
お世話になっている家のレプチャ族のお姉さんが、「民族衣装を着て、一緒に写真を撮りたい!」と言ってくださったので、衣装をお借り写真撮影が始まりました。
これがこちらの民族衣装!チェリンの着ているのも中国人ぽいですが、彼の民族シッキム族の民族衣装です。私が着ているのはブティア族のものだそう。
(シッキムは、私たちがチャリティーをしている対象であるネイティブのレプチャ族、チベットが祖先のブティア族、そしてネパールから来た人々で、ほぼ構成されています)
巨大な野生のキノコ!!
こんなに巨大なきのこが、家の周りに生えています。
よく家族のメンバーが、その辺から取ってきて、夜ごはんで食べています。
山菜もつんできて、キノコと炒めて食べてます。ごはんに合います。
時々、お醤油なんかもかけて。
こちらは、マスタードオイルが主流なのですが、オイルを炒めると、食欲をそそる、ほんとに美味しい香りがしますよ~
日本食がなくても、こんなに美味しいものを食べてるので、あまり日本食には飢えていません、今のところ。
野生の山菜こそ、本物のオーガニックだよ、とよく夫が言います。
スーパーとか、市場で”オーガニック”という言葉をよく見ますが、あれは、嘘っぽいそうです。
そうですよね、野生の山菜は、誰も農薬も化学肥料も使わずに、自然の力だけで育っているんだもの。
だからかな、すごく美味しいのは。
(下の写真はトウモロコシ)
餃子の祖先!?チベット料理「モモ」を作る
チベット料理「モモ」を、現地の人に教えてもらいながら作ります。
シッキムは、中国の国境に接し、チベットの影響もたくさん受けている地域だからか、シッキムでも定番の料理が、このモモ。餃子にそっくり。もしかすると餃子の祖先!?中には、マッシュルームを入れたり、キャベツやたまねぎを入れたり。
ソースは、赤い唐辛子のソースなんですが、私は辛いのがあまり食べられないので、ほんのちょっとだけつけて、あとはお醤油でいただきます。
餃子パーティでお別れパーティー
デリーに行く前日、シッキム最後の日も、近所のお世話になっている家族のところに泊まらせてもらい、 みんなでモモ(チベット料理で、日本で言う餃子)を作りました。
よくある形は、三日月みたいな形のもの。
具は、今回は、野菜のみ。玉ねぎとキャベツでした。
これに、マッシュルームを入れると、とても美味しいです!
家庭によっては、お肉を入れることもあります。
いいアイデアだなと思ったのは、数段重ねて餃子を蒸すときに、 具を作った時に別にとっておいた野菜を使って、 段の一番下に、スープを入れて、作る!
餃子も蒸しながら、スープも作れたら、一石二鳥ですね!時間も燃料も節約できるいいアイデアですね。
他のインドの地域にも、チベット料理屋はちょくちょく見かけます。 インドを旅行中、スパイシーな味に疲れたら、ぜひチベット料理屋を訪ねて、モモを食べてみてくださいね。
自給自足生活では、ヘアカットも自分で
日本に旅たつ時、いつも、ご近所さんがfarewell partyをしてくれます。
お家は、娘さん6人、息子さん2人の8人兄弟。 にぎやかな楽しい家です。 近所の女性同士で髪を切り合うとの話を聞いて、 私も頼んでこの家の女性、ジャンムさんに切ってもらいました。
米袋を肩にかけて、立ったままのカッティングスタイル‼
子供達も、大はしゃぎ! 外国人の髪が切られているを見るのが珍しいのか、興味津々の顔で見ています。
外で日向ぼっこをしていたら、髪を切ってくれたジャンムさんが、 編み込みをしてくれました。
こんなことしたの、何十年ぶりだろう・・・小さい頃は、女の子の友達と鏡の前で、よく遊んだりしたな〜 とても懐かしい感覚。
髪をさわられる安心感。
近い距離の心地よさ。
愛されている感覚を楽しみました。
夫の家は最近水不足になり、 この家は水が24時間コンコンと湧き出ているので、洗濯をさせてもらったり(もちろん手洗い・・・でも不器用な私を見て、この家の女性が途中から代わりにやってくれました)、何回かシャワーを浴びさせてもらったりしました。
シャワーと言っても、桶に水を汲んで、 わざわざ火を起こして沸かした熱湯を混ぜて 限られた1杯のバケツの水で、全てを済ませなければいけません。
体と髪を1杯のバケツで全て洗うというのは、結構、コツが入ります。
燃料もいるし、手間もかかるので、 もちろん毎日浴びるなんてことは・・・
多くて2日に1回、 水不足や移動の関係で、4〜5日浴びれなかったってことも。
夫の家や水不足の他の地域では、 水が来ている時には、タンクにできるだけ溜めておいたり、 その間に、お皿を洗ったりしていました。
なかなか大変ですが、その環境にいると、人間は不思議と慣れるもので、 その中で、どうにかしようとするものですね。
大きな愛を持つ子供にビックリ
夫の実家の近所に住むチョーデンちゃん。6歳くらいかな?
大自然と大家族に育てられると、こんなにも素直で、愛が大きくて、働き者になるのかと驚かされっぱなしです。
私が行くとこはどこでも付いて来て、みんなに「尻尾みたい」とからかわれています。
トイレもお風呂も付いて来て、外で待っています。
お風呂から出たときは、私が持っているお風呂道具を持ってくれたり、
スーツケースの開け閉めをしていたら手伝ってくれたり、
お花を摘んで持ってきてくれたり、
小さな手で石を使って、一生懸命私のためだけにクルミを割って食べさせてくれたりと、もう、愛がすごいんです!
こんなに小さな子供なのに、自分の要求が少なくて、むしろ、「あれもあげたい!」「これもしてあげたい!」という与える気持ちに溢れているんです。
日本から持ってきたチョーデンちゃんへのお土産は、ピンクのマグカップと桜のデザイン入りのハンカチ。
「これは特別なものを飲むときに使うの!このハンカチは、このカップを拭くときだけに使うのよ」普段使いはもったいないと、カップとハンカチは大事に棚にしまっていました。
こんなに小さな子供でも、そんな風に思うのかと、驚きと感動でした。
そう言えば、チャリティーで日本のみなさんから送ってもらった古着を受け取った子供たちも、普段はボロを着ていて、日本の古着はもったいなくて着れないと言っていたなあ!
メイエルの実家で見た子供達はみんな、家のお手伝いを小さい頃からしたり、礼儀正しくて、お客さんに対しての挨拶やお茶出し、お客さんのお菓子には手を出してはいけないこと(お客さん用のお菓子をお客さんから、どうぞともらっても手をつけない)など、しつけが徹底されています。
体は小さいのに、中身は大人のような印象。15歳になれば、もう立派な大人として扱われるそうです。
「明日学校から帰ってきたら、京子おばさんにチョコレートをあげるの!」と嬉しそうに言うチョーデンちゃん。
「明日学校から帰ってくるころには、京子おばさんはもういないのよ」
チョーデンはまだ分かってないようねと私に伝える親戚のお姉さん。
出発の朝。
元気なく、バイバイと一言だけのチョーデンちゃん。
なんだかドライな感じで、あれ?いつものチョーデンちゃん?どうしたの?と少し寂しい思いで村を後にしました。
デリー空港から電話してみると、親戚のお姉さんが電話に出て
「チョーデンは、『京子おばさんが昨日寝ていたベッドで寝る!』と言って、今もう寝てしまったとこよ」
それを聞いて涙が出ました。
「京子の声を聞くと、涙が出てしまいそう」とお姉さんも。
小さなチョーデンちゃんから溢れ出す大きな愛をもらった貴重な村での滞在でした。
小さい頃から出家してお坊さんになる子供達
シッキムは仏教圏で、一家に一人がお坊さんになることが望まれていると言います。
これはシッキムでお寺に行った時に撮った小さなお坊さん
まだまだ、やんちゃな感じを受けるお坊さんたち
みんな、小さい頃から親元を離れて、寮に入ります。家族に会えるのは、年に数回だけ。
親元から離れて、厳しい規律を学ぶので、日本のような反抗期はないそうです。
「親と先生と神様は同等」と学ぶのだと、よく夫が言っています。
だから、日本で、私が両親に対して、からかったり、友達のような口調をきくと、夫からたしなめられることも、しばしば(笑)
シッキムの田舎を歩いている時に出会う子供達、すごく可愛いですよ!
貧しい子供達への、これまでの活動をまとめていますので、興味がある方はどうぞ。
【著書】インドとネパールの子供達へのチャリティの10年間の旅を一冊にまとめた本。
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